NPO法人 日本健康太極拳協会 山梨県支部

当ブログで活動報告を行なっております。

太極拳

私自身の勉強の為にも、出来る範囲で太極拳の事を書いてみました。ご存知の方が多いと思いますが、良かったら参考にして下さい。

長文ですが・・・。

太極拳の起こりは、素手による格闘技であった様ですが、長い年月の流れの中で次第に導引術(体の屈伸運動)吐納術(呼吸法)が結びついて、内功拳に変わりました。

内功拳とは内外一致、つまり心と身体、そして呼吸と動きを一致させて、相手の大力を変化させ、自分の小力で相手を制す拳法のことの様です。さらに中国哲学の陰陽学説と、中国医学の人体理論である経絡説を取り入れて、ここ100年来、太極拳は中国人民の健康法に変わってきました。特に簡化太極拳は、健康法、美容法として一番楽しめるものになりました。しかし、太極拳は、奥深い思想にも支えられています。

陳王廷が作り出した拳法は、古くは主な手法8法と、前後左右中と五つの変化を含むところから「13勢」もしくは、一つ一つの動作が切れ目なく続くことから、長江(揚子江)の悠然たる流れに例えて「長拳」とも呼ばれました。これを「太極拳」と名づけたのは18世紀の有名な武術家、王宗岳です。

太極とは、バランスのとれた宇宙の根源である。

その太極とはどの様な意味なのでしょうか?太極の文字は、中国の古典哲学でもある儒教の教典、「易経」の中に出て来ます。「易経」は四書五経の一つで、宇宙を動かす根本原理を説き明かしているものですが、その「易経」によりますと、太極とは天地が分かれる以前の状態を意味します。

そこは、限りなく広く、一切が無であり、この状態から陰と陽の二つのエネルギー(氣)が分かれ、陰陽二つの氣の相互作用によって万物が生成すると考えられています。ですから太極とは、陰陽を内蔵したきわめてバランスのとれた宇宙の根源という意味になります。

太極拳の名の由来はこのほかにも、

1.太極拳の動作が円形を多く示す特徴から、太極拳図の「環」に似ていること。

2.太極拳の説く虚実ということが太極拳図により、陰陽(対立と統一)理論と合致することから命名されたと説く人もいるようです。

王宗岳には太極拳を学ぶ人の必読書とされる「太極拳経」があります。その書の書き出しは、「太極は無極より生じ、動静の機、陰陽の母なり」という、宇宙観が述べられています。

王宗岳の『太極拳経』

宇宙の根源を太極という。太極はもともと無で、動静のきっかけ、陰陽の母である。ひとたび動けば千変万化を生み、静まればもとの無に帰る。この自然の法則に逆らうことなく、太極拳の技は過不足なく、相手の曲に従って伸ばす。相手が、力強く己が小力の場合は、逆らわずに流すこと、これを「走」という。己を有利な立場におき、相手を不利な方向や大勢におくことを「粘」という。相手が速く動けば自分も速く動き、人がゆっくり動けばこちらもそれに従う。千変万化すれども、そのもとの道理は一つである。

型の積み重ねの稽古により、はじめて「勁」がわかり、勁を理解することによって太極拳の極意に到達する。

”「勁」は「氣」と理解すると分かりやすいと思います”

しかし長い稽古を経なけれは、この境地に達することはできない。

無念夢想で氣を丹田に沈め、姿勢を正しくすれば相手の左右の虚実を察知し、相手の高低の誘い技をも知り、さらに相手の進退をも分かるというふうに、相手の動きに応じた自由自在の変化ができる。人が己を知らず、己が人を知れば向かうところ敵なしである。

見たまえ、ごく小さな力で重いものをはねのけることができるのは、あきらかに力で勝てるものではない。また、老人が大勢に勝つことができるのも、老人の技が速いから勝てたのではない。

立てばはかりの如く、動けば車輪の如し、傾き沈めば動きは崩れ、双重であれば動きが滞る。何年稽古をしても、応用できなければことごとく人にやられてしまう。これは「双重の病」を悟らないからである。

もしこの病を避けようとするならば、すべからく陰陽を知らなければならない。粘は走であり、走もまた粘である。陰陽は不離であり、相助けてはじめて勁を悟る。勁を心得て太極拳を練れば、ますます理解が深まる。そして黙々と修練を重ねると自然に妙味を会得することができる。

本来は、心を無にして稽古をすべきだが、多くのものは誤って近くをすて、遠きを求めている。心構えの僅かな差が、修練に千里の隔たりをもたらす。太極拳を学ぶ者は、この事をしっかりとわきまえなくてはならない。

この長文を、ここまで読んでいただきありがとうございました。「太極拳経」の内容はもう少し長い為、読みやすく一部割愛させていただいてあります。

太極拳を、二十数年やって来た私がやっと理解で来る程度ですので、初心者の方は特にちんぷんかんぷんかも知れません。(汗)

次回は、私の理解した太極拳をもう少しやさしく、分かりやすく書いてみたいと思っています。

太極拳の理解に、間違いも正しいも、良いも悪いもありません。それは何と言ってもこの地球は、陰陽の相対世界だからです。陽は陰を待って初めて陽であり、また陽があって陰が生きるのです。(笑)

楊 名時 師家  正に”太極”❗️無であり空❗️凄い氣です‼️

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