立如平準、活似車輪。偏沉則隨、雙重則滯。毎見數年純功、不能運化者、率皆自為人制、雙重之病未悟耳!
という言葉があります。
日本語にすると、立てば秤(はかり)の如く。 動けば車輪の如し。 偏き沈めば動きは崩れ、双重であれば動きが滞る。
立てば秤りの如く・・天秤計りのようにバランスが取れた状態を言います。
立身であり、中正である事が、秤りという道具にたとえられています。
天秤の比喩は太極拳の各姿勢における「無極」中定のこと。
“中”とは中心と軸を形成させること。 “定”とは安定の状態、すなわちバランスの状態を意味します。
昔、理科の実験で天秤計りを使い重さを計ったことがあります。
計りの左右のバランスを取るのに大変苦労した思いがあります。
太極拳では鳥の羽一本を重しとできるほど・・・という言葉もあります。
極めて繊細なバランスを保ちながら動くことを心がけるのが極意なのですね。
その動きの中に
力むことなく
かたよることなく
停止することなく
「無極」中定を保つ(=天秤がつりあう)ことができれば、その太極拳は理想となります。
内面的な柔らかさ、自由度はこのような練習を積み重ねていくことで徐々に身について緩んでくるのですね。
ところで「緩む」のが語源は、「許す」だったのですね。
この 「許す」 は,もともとは 「緩 くする」 と同義語でした。
つまり、縛りを緩くすることが 「ゆるす」 だったのです。
ですから, 「許す」 も,相手が犯した行為に対する縛りを緩くしてあげるという発想なのです。
許すとは、どんなこともそのまま受け止めるということの様です。
許す=緩む
太極拳の基本は毎日続けることにより、心と体を常に一つの清和で落ち着きのある「無極」(中定)の状態を保つことによって、心と身体のバランスを保つことが大切なのですね。
そのことが「心・精・氣・神」に繋がり心穏やかに健康になる秘訣なのですね。